キャリアへの「シムフリー」強制が意味を成さない理由
現在モバイル回線の通信量が高額であるという話題に関しては、総理大臣までが高いと認める程なようです。モバイル回線の競争を加速させて価格を下げるためにシムフリーを強制するなど、総務省は色々な方策を考えているようです。しかしながら、今年から行われるようになったシムフリーに関しては良い結果が得られてないように思います。その理由について私の考えを紹介します。
対応する周波数の関係
各社、どんな所でも通信が出来るように基地局整備を行うわけですが、その基地局から飛んで来る電波の周波数が各社異なります。
例えば各社いわゆるプラチナバンドと呼ばれている、「より届きやすい電波」の周波数帯の使用権限を持っているわけですが、その周波数帯はdocomo、KDDI、SoftBankでそれぞれBand19(800MHz), Band18(800MHz), Band9(900MHz)というように、各社違います。
各キャリアが自社のための携帯電話を出す際に、他の事業者の周波数帯に対応させる意味は基本的にありません。つまりSoftBankは、auの電波に対応するような携帯電話を作る意味がありません。逆もまた然りです。
このように、携帯電話を発売元のキャリア以外のネットワークで使用する場合に、勿論最適化されていないために十分なサービスが受けられない可能性が高いため、シムフリー端末・文化は広がらないと考えます。
実際、docomoの端末をauで使用する際には、docomoとは方式が異なる3G通信を使用したauに対応するはずもなく、そもそもauのネットワークでは使用不可能という状態です。
なお、iPhoneは世界のほぼすべてのキャリアに対応しております。しかしながらiPhone6までは各社のシムロックが設定されており解除もできないという状態です。6sからはdocomoに関してはロック解除が行える模様です。シムロックの恩恵はこれだけ、でしょうかね。
持ち込み機種変更を行った時の月額プランが高額
機種を持ち込んだ場合の月額料金プランは、大手3社のキャリア全てにおいて、かなり高額に設定されています。というのは、端末代の値引きが全く行われないことに起因します。
iPhoneを各社のネットワーク制限がある状態で購入する場合、多くは端末購入の負担を少なくするために通信量を割引してくれることになっています。いわゆる「月々サポート、毎月割、月々割」などが該当します。
しかし、例えばアップルストアや中古屋でiPhoneを購入した場合、この割引がキャリアから全く受けられないという問題が有ります。従って、シムフリーiPhoneを使用するには割高な回線か、MVNOを使用するかという選択しか出来ないことになります。
この施策が有効になるには
キャリア間の行き来が自由になるには、端末と通信回線との分離が行われることだと考えます。そのために、まずキャリアがガラケー時代に行えていた、端末価格の分離を再び行うことだと考えます。その方法として、持ち込み機種変更用の格安プランを作るべきだと考えます。(毎月割によって割り引かれる金額よりは小さくても良いと思います)
それだけで、端末の量販店における購入・そこから好きな端末への機種変更が可能となります。端末・回線を自由に選べるために、今までのキャリアが携帯を販売する以外にも、自分で選ぶ選択肢の追加が急がれる気がしてなりません。